抗ウイルス加工薬剤「オーリス」がクリーニング業界を変える

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新型コロナウイルス蔓延を背景に、新たな抗ウイルス加工薬剤が登場し、瞬く間にホームクリーニング業界を席巻。時代にフィットした機能性の高い薬剤を開発・販売をするのが創立80年の老舗化学メーカー・日華化学だ。同社クリーニング&メディカル事業を執り仕切る中川氏にインタビューを実施。抗ウイルス加工薬剤の誕生背景や思いについてうかがった。

クリーニング業界を席巻する日華化学のチカラ

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ホームクリーニング分野におけるシェアNo.1を誇る

――まずは、貴社の事業内容からお聞かせください。

中川:1941年創立、今年で80年が経過しました。界面科学をベースとした製品開発に取り組み、化学品事業と化粧品事業を二本柱として展開しています。

クリーニング&メディカル事業部は、化学品事業部門に属しております。クリーニング事業はホームクリーニング企業・リネンサプライ企業のお客様へ、メディカル事業は医療・福祉関連のお客様にプロユースの薬剤を提供しています。 なかでもホームクリーニング薬剤の市場シェアは40%程と推定しており、長年の業界での取り組みに対して全国各地のお客様からご支持をいただいていると考えています。

繊維を知り尽くしているから実現できた

――ホームクリーニング薬剤市場シェアNo1を維持し続けている貴社の強みはどのようなものでしょうか。

中川:弊社の80年の歴史は、まさに繊維用界面活性剤から始まった歴史といっても過言ではありません。1958年にクリーニング事業領域に参入しましたが、最大の特徴は長年に渡り繊維に向き合い、繊維の各工程に関わる薬剤の研究開発を行ってきたため、各繊維素材の特長をよく知っている点にあります。
最近の衣料は機能性の面においても劇的に変化を遂げています。それゆえ、適した洗い方をしなければ問題が生じてしまいます。また、弊社製品の代理店が全国にあり、そこからお客様であるクリーニング企業からの声は勿論、クリーニング店を利用している消費者の方々からの声が集まってきます。そういった要望を元にお客様視点で新商品開発を進めている点も、ご支持いただいている点ではないかと思っています。

抗ウイルス薬剤オーリスの誕生と進化

時代を先取りしながら進化する機能性

――抗ウイルス薬剤オーリスが誕生した背景を教えてください。

中川:2020年、抗ウイルス薬剤オーリスシリーズ3種を上市しましたが、実はこれがオーリスブランドの始まりではありません。今から40年近く前に開発した繊維用新規抗菌加工薬剤をベースとして生かし、1987年にクリーニング業界向けに衣類用の衛生洗濯シリーズ「オーリス」ブランドの展開を始めました。業界初、全ての衣料に対して抗菌加工ができるということもあり、この第一弾のオーリスに対する反響は非常に大きかったと聞いています。

抗菌オーリスのヒットの理由は、抗菌に対するエビデンスの裏付けがあった点が大きかったと思います。それも繊維化学品分野で長年培ってきたバックヤードがあったからこそ可能であったと自負しています。さらに現場で確実に抗菌性能が出ているかどうかを確認するために、「ハロー試験」による抗菌加工認証制度を展開しました。オーリスを採用いただいたお客様向けに第三者機関で取得したデータをもとに抗菌加工認定書を発行しておりました。その認証効果は絶大でした。

――衣料品に対する抗菌意識が社会的に高まる以前から、そこに着目した理由はどのようなものでしょう。

中川:世の中の潜在的衛生ニーズが高まってきたため、そこにビジネスチャンスがあると考え、一時代を築いたと聞いています。そして1996年にO-157が流行した時、また2009年に広まった新型インフルエンザなどを機に再び抗菌に注目が集まりました。おおよそ10年周期で抗菌に対する意識が高まる出来事が起こる中で、2020年にコロナが流行しました。その時、先にご紹介した抗菌剤に抗ウイルス効果があることが分かり、それを元にこれまで培ってきた弊社技術の粋を集め、抗ウイルス加工薬剤として製品化しました。

社会に貢献したいという強い思い

――抗ウイルス加工薬剤「オーリス」シリーズを利用されているお客様から、どのような反響がございますか。

中川:コロナ禍になり、ホームクリーニング業界から開発への期待が大きくなっているのを感じていました。そのためリリース直後から「売上が上がった」「お客様が戻ってきた」という声ばかりではなく、「お客様が不安を抱えて生活している中で、少しでも安心安全を届けるような社会貢献ができた」といった嬉しい言葉をいただくようになりました。

付加価値の高い製品を開発したので、ある程度、価格設定を高くしても良いのではないかという考えもありましたが、あまり負担になるような価格設定をしませんでした。結果として、たくさんのお客様に使っていただけるようになりました。

私たちにはホームクリーニング業界に貢献したいという強い思いがあります。ホームクリーニング薬剤のトップメーカーである弊社が先頭に立って、お客様、ひいては社会に役立つ新製品開発をしていかなければならないという使命感を持っています。

ホームクリーニング需要のピークは今から約30年前で、以降市場規模の縮小が続いています。この縮小の流れのなかで撤退される同業他社もありましたが、弊社としてはこの業界に真摯に向き合ってきました。だからこそ業界シェアが高まっているのかもしれません。引き続きトップメーカーの責任として、チャレンジを続けたいと思っています。

共に業界をもう一度伸ばしていきたい

――これからのホームクリーニング業界をどのように見ていて、それに対してどのような価値を提供していきたいと考えていますか。

中川:第一に、我々のお客様であるホームクリーニング企業の業績向上に寄与できないかを常に考えています。そのために例えば単価を上げたり、客数を増やしたりといった当たり前のことが求められると思いますが、単価を上げるにしても点数(衣類数)を増やすにしても、それぞれのお客様が魅力的なサービスを提供していない限りは実現しないと思います。洗って汚れを落とすという基本的なことに加え、それ以上にお客様が求められる付加価値を提供していきたいと考えています。

撥水・撥油、防虫・防ダニ、UVカット加工、風合い向上加工などの加工は、これまでも展開していますが、さらに新たな付加価値提案が出来ないかを考えています。また、これから先も新しい繊維が出てくると思うので、その情報は他メーカーよりも早くキャッチし、お客様のニーズを先読みし、タイミングよく市場投入することで、お客様の単価アップに繋げてもらえればとも思っています。結果的にそれが様々なメニューを生み出し、お客様を引き付けるのではないでしょうか。

また、昨年秋、自前で抗ウイルス試験ができる設備を研究所内に新設しました。これによって、よりスピーディかつ正確な試験が可能となり、今後も出現するであろう新しいウイルスにも対応できる体制を整えています。

時代が変わっているので、消費者が当たり前に足を運んでくれる環境ではなくなり、様々な商品を揃えていても、それらを伝える機会がなくなっていると感じています。とくにホームクリーニング業界は、待ちの業態なので、なかなか発信することもありません。

従来の店舗型から「ラクリ」のようにインターネットを活用したサービスへの移行も始まっています。高齢化が進んでいるので、例えばなかなか自分でクリーニング店に布団を持っていくことができない方のもとに布団を取りに行くなど、新しいニーズも増えてくることでしょう。それに対し、私たちは様々な薬剤のラインナップを揃えており、いただいた声から新製品を開発する体制が整っているので、「ラクリ」さんとはぜひ力を合わせながら、業界をもう一度伸ばしていくことができればと思っています。

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